≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
第四章
目覚め
「・・・あれ・・・?!!・・起きれた・・・?!」
オレは自分の放った言葉を、自分の耳で聞くコトで、現実の世界に戻ったことを確認した。
「ヒカルっ!!」
同時にオレの聴覚を刺激する声がした。
すぐさまオレの視界に飛び込んできたのは、母親の涙ぐんだ顔だった。
「・・・オレ・・・」
「母さんよ!分かる?!分かる?!!ヒカル!!」
・・・そんなに喚かなくても・・・
そう思いながら、オレは昔溺れて死にかけた時のことを、ふと思い出した。
・・・あの時も母さんは、オレの名前を泣きながら何度も呼んでたっけ・・・
「大丈夫・・分かるよ・・・大袈裟だって・・!」
オレは、母さんが安心するよう、うっすらと笑みを浮かべて言った。
更に安心させようと、ついでに体を起こそうとした。
・・・が、その時初めてオレは自分の体の異変に気がついた。
「・・・あれ・・・?!」
目覚めてから2度目の「あれ?!」は、自分の体がなかなか言うことをきかないコトに対してだった。
・・・てゆーか、力入らねぇっ!!
「ヒカル?!どうしたの?」
オレの焦っている様子を見て、母さんが心配そうに顔を覗き込んできた。
「いや・・・その・・・体を起こしたいんだけど・・・」
相変わらずオレは、体をぎこちなくもぞもぞと動かす試みをしていた。
「まだ、無理よ!!今ナースコールするから、先生に来てもらいましょ!」
「・・・無理?!大丈夫だよ。ほんのちょっと気ぃ失ってただけだから・・・」