≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「はい。よく電話がかかってきていたけど・・・代わりに出ようと思ったけどうまく出られなくて…」
オレは母さんの話しを耳半分で聞きながら、
着信記録を見た。
「あぁ…オレのケータイロックかけてるから、オレ以外出られないよ。」
メカものに疎い母親は、きっと今オレが言ったロックの意味もよく分かっていないはずだ。
「そう、それ長谷川くんもそんな事言ってた。」
今眺めている着信記録に長谷川の名前は頻回に登場していた。
「長谷川と喋ったの?」
「えぇ、携帯が繋がらないからって、家に電話してきてくれたのよ。」
母さんは数週間前を思い出しながら喋るように視線を遠くへやった。
「そうなんだ。他には誰かと話した?」
「会社の竹田さんて方からも電話をもらったわよ。長谷川くんと竹田さんはここまでお見舞いに来てくださったのよ。」
「そうだったんだ。じゃあ、早速連絡しないとね…」
オレは長谷川と竹田さんに感謝しながらも、眺めているケータイには樹花の名前を探していた。
あった!…最後に連絡があったのは、3週間前のあの事件の日。
即ち、オレがハルに抱きつかれているのを樹花に見られた日だ。
てことは、この3週間樹花から連絡が無かったというコトを意味している。
オレは次に日村先生からのメールを開いてみた。
そこにはただ『気が付いたら連絡して』とだけ書かれてあった。
メールくれるだけでも十分なのだろうが、樹花からも電話は一度きりであることに対し、なんとなく疎外されたような気がして、気持ちが塞いでくるのが自分でもわかった。
確かに、悪いのは自分だと分かってはいる。
オレの隣では、母さんが意識の戻ったオレのために呼んでくれた医者を、まだかまだかとソワソワして待っている。
母さんにだけはこれ以上心配をかけられない。
オレはとにかく、気丈な振りを決め込んだ。
「まずは長谷川に電話してみる。」
オレは、ここがケータイをかけていい病室かどうか母さんに確認し、長谷川に電話をかけた。