≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

『・・はぁ?!』


さすがはアスカ。

病人(?)はオレだぞ。

なのになんなんだ、相変わらずのその女王様態度!!

オレは生まれて初めて、童話の『ねむり姫』を羨ましいと思った。

百年の眠り(オレはたかだか3週間だったが)から覚めた瞬間に傍に居たのが、愛する人だった事はどんなに幸せな事か。


まぁ、母さんの存在を無視するワケじゃないけど・・・オレは・・多分・・樹花が隣に居てくれたら・・こんな風に目覚めてすぐケータイを扱ったりはしていなかった。


『あ・・・そうだ!!』


オレは樹花の事を尋ねそびれたのを思い出した。

でもまぁ、アスカ達が来るって言うし・・・その時訊いたらいいか・・・


その後、病院の先生がやって来て一通り検査されたが、やはり異状はなかった。

経過が良ければ5日前後で退院していいというお許しも頂いた。

オレはホッとしながらも、3週間もおいとましていたこの現実社会との縁を取り戻すべく、会社にも連絡を入れた。

オレのデスクも、まだなんとか残しておいてもらえていたようで、これも一安心だった。


なんだかんだで時間が過ぎていた。


『もう向かってる』と言い捨てたアスカのセリフから、ゆうに4時間は経過していた。


その間にオレは、久々口から食べ物を入れた。

昼食はもちろん重湯。

固形物はまだ食べられない。


長谷川とアスカが現れたのは、この昼食後2時間ほど経ってからだった。



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