≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「オレさ、意識無くなる前、樹花と…ちょっとあってさ…誤解なんだけどね!
連絡しようと思ってるんだけど、2人に樹花の様子を訊いてからがいいかな、って…」


「無理!!」


オレが話し終わらないうちに、アスカから飛び出した言葉。



「・・・なんで?」


少しムッとしてたてつくオレ。



「電話出来ないから!」



オレを見ないアスカ。



「樹花…そんなに怒ってる?」



アスカの態度に樹花からよほどオレに対しての良くない情報を聞いているのだろうと思えた。



「ってゆーか、樹花・・・話せないから!」



長谷川が心配そうにオレとアスカを交互に見ている。



「話せない…って、樹花から頼まれてるわけ?…その…オレとはもう二度と会わないとか、話さないとかになるように協力してとか…」



窓の外を見ていたアスカはクルッと振り返ると、ズカズカとオレのすぐ近くまで寄ってきた。

その表情は金剛力士像を思い出させた。



「ふざけんなっ!!・・・樹花がそんなみみっちい事あたしに頼むか!このボケナス!!」



「ボ…ボケナスぅ?!」



アスカの突然の言葉のアッパーにオレは面食らった。

オレがアスカに『おたんこナス』と言い返す前に長谷川が口を挟んだ。



「あのさ!・・・樹花ちゃん・・意識が無いんだ・・・」



『・・・えっ?!!』



長谷川の言葉に、オレは言葉を失った。

投げかけたボールが手からポロリとこぼれるように、アスカへの反撃の言葉も地面に落ちて転がっていった。


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