≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
樹花は、今度はアスカの肩に寄りかかって泣き出した。
アスカもそのまましばらく黙っていた。
樹花の嗚咽だけが病室に響いていた。
~♪ 物語りみたく 永遠を生きゆく
ものはないでしょう
アスカが突然鼻歌を歌いだした。
~♪ あまたの生命(いのち)が
繰り返していく
祈りのリンクを
樹花がアスカの肩からゆっくりと顔を起こした。
樹花のよく知っている歌。
~♪ 急いで 時が終わる
動きはじめた 記憶のなか
光浴びた 愛がつなぐ
風に委ねてた 遠いリズム
夢を透かして
その手掴むの
願う今を 抱きしめてみる ♪~
「Eternity…」
樹花がタイトルを呟く。アスカのバンド『HotSnowBell』でキーボードを弾いていた頃とても好きな曲だった。
「この歌さぁ、私のバンドで唯一作曲だけコピーなんだけど」
「うん」
今度はアスカが語り出す
「なんだろう…わたし歌うの好きじゃん、今さらだけど」
「うん」
病室の天井を見ながらアスカは笑った
「だからきっと誰かに何かを伝えたくて作詞とか作曲とかしてさ、バンドで歌ってるけど」
「うん」
樹花はただ頷いた
「こんな風に誰かを元気づけたい時に歌える曲、まだ作れてないんだなぁって」
「そんな事ないですよ。この歌詞だって考えたのアスカさんですし、他の作詞作曲も好きなのばっかりです。アスカさんの歌詞にはいつも励まされてます。」
樹花の意見にアスカは続けた
「私も好きだよ自分の作ったの。だけどいざとなるとさ、今だって湧いて出てきたのはこの曲。やっぱり自分の心に響き続けてる曲なんだよね。まだ超えるものが私の中でないんだって改めて気付いた。」
どう言葉を返そうか迷っている樹花の背中をポンッとアスカは軽く叩いた。
樹花はアスカを見つめうっすらと笑った。
「ずっと探してる、自分なりの一番。」
「そうなんですね」
「また手伝ってよ樹花、一緒にさがしてよ。永遠に!」
アスカが冗談ぽく笑うと、樹花は今度はしっかりとほほ笑んだ。
「はい、もちろん…有難うアスカさん」
「いやいや有難うはこっちだから!逆に励まされてるってゆーね!」
アスカはいつものようにアハハと笑ってみせた。