≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
オレはその時、二つのイヤなパターンを同時に思い浮かべた。
一つは樹花だけが目覚め、オレの方が霊界と人間界の狭間にいるということ。
もう一つは、オレがいつぞやかの樹花の状況を霊界的視点から見ているということ。
・・・今までの経験上、オレ自身でも後者の可能性の方が強いことは判っていた。
どちらもイヤだが、なんだかとても見たくないものを見なければならないような気がして、オレの鼓動は早くなった。
色々なことを思い浮かべながらも、オレは樹花から視線を外さなかった。
樹花はずっと誰かの携帯に電話をし続けながら、どんどん階段を上っていたが、その電話の相手は一向に出る様子はなかった。
またまたオレはなんとなく、その電話の相手が自分であるコトが判っていた。
・・・となると・・・この後樹花は階段から・・・・
まるでこの霊界と人間界の間の時間というのは、意識を持つものの好きなようにジャンプする事が出来るかのように、オレの思った通りの瞬間・・・・
つまりは、樹花が階段から落ちる瞬間までを一瞬で表現した。
一瞬ではあったが、その内容とはやっと電話がつながりやすい状態になったであろう屋上へ続く階段の一番上で、なんと階段下にいるオレに樹花が振り返ったのだ。
間違いなく・・・・・オレは樹花と目が合った。
今は霊体だけで動いているオレと生身の樹花とだ。