≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「え・・・そうなんだ・・・。そしたらどうやって樹花を連れて帰るの?!」
「推理と推測、その結果の先に居る。」
アージェルから見ると恐らくオレは、ハトが豆鉄砲をくらった顔をしているに違いない。
「あの・・・だって・・・今樹花は目の前にいるわけで・・・」
「およそ4週間前の彼女のVTRでしかない。」
「じゃあ・・・『今』の樹花は・・・」
その後の言葉など用意していないオレの前から、樹花は突然消えた。
「うそっ!?」
オレがアージェルの言動にあっけにとられている間、樹花は老人との会話が済んでしまったようだ。
「ねぇ、樹花は?樹花はどこに行ったの?!」
オレは、辺りを見回しながらアージェルに尋ねた。
「それはキミにしか分からない。」
アージェルの言葉に、オレは力が抜けていくようだった。
「分からないから、アージェルが助けてくれるんじゃなかったの?!!」
オレが吐き捨てるように言うと、アージェルは淡々と返してきた。
「僕が彼女を全力で見つけるとなると、彼女は僕たちの世界のルールに従って生きることを強いられてしまう。まだ、能力の開花していない彼女にそれだけのことを約束させる方が、キミにとって大変辛いことだと思うが・・・」
アージェルの言っていることは、よく理解できた。
アージェルほどの力の霊が、生きている人間に力を貸すというコトは生かしてもらっている間、アージェルの能力に応えられるだけの試練や修行が課せられる。それが、どれだけ苦しいことなのか・・・・。
痛いほど判っているはずのこのオレが、今・・・この状況で、樹花にソレをさせていいものなのか・・・とてつもなく恐ろしくなった。
「わかるよ・・・理解るけど・・・」