≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「あの地縛霊に尋ねてみるといい。」


オレが言葉のやり場を無くしていると、アージェルが呟いた。


「・・・だって、ただのVTRなんでしょ?!」


「ついさっきまではね。彼女が去ってからは現時間に戻っているよ。」


オレは状況の変化についていってはいなかったが、アージェルの言うがまま、老人の地縛霊に近づいた。


「あの・・・・」


オレが話しかけても、老人は目を細めて微笑んだまま動かなかった。



「あの・・最近おかっぱの女の子が・・・・」



それだけしか言葉にしていない段階で老人は答えた。



「ほうほう。お嬢さんなら帰りなすった。」



「え・・・?!!」



「かなり迷っておったが、やはり『会いたい』言うてな。」



「会いたい?」


「ふむふむ。『もう一度、大切な人に会いたい』言うて帰りなすった。」



「えっ・・・でも・・・そこには彼女・・・居なかったんです。だから、オレ・・・探しに来たんです!!」



そうだ。

帰ったのなら、すでに樹花は目覚めてるはずだ。

それなのに帰っていないとなると・・・大切な人って・・・誰だ?!

そいつは何処にいるんだ・・・

ヤキモチなんか妬いている場合じゃないぞ。

そいつを探さなければ・・・

オレは胸が焼けるような痛みを無視して、その場で必死に樹花の行き先を考えた。

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