≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜

「じゃあ、その根拠を教えてくれよっ!!なんでオレなんだ!!樹花の両親でもいいじゃないか!!」


はじめから分かってはいたが、アージェルがオレの剣幕になどひるむことはなかった。



「でも、先生は彼女を連れて帰るのはキミだと言った。彼女の大切な人かどうかは僕の知るところではない。」


教えてほしい。

オレは幸せなのか?

それとも不幸なのか?

これだけ力のある上級霊と一緒に行動を共に出来るなんて・・・

確かに凄いことではある。

しかし・・・

それがなんなんだ。

オレがやりたい事はただ一つ。

樹花を連れて帰ることだけなのに、なんでこんな外れた道に立ってなきゃならないんだ!!



「そんな言葉を繰り返したところで・・・行く『あて』なんか・・ないよ・・」


オレのモチベーションが下がっていることなど、一切おかまいなしにアージェルは言葉をかけてきた。



「ヒカル、推理するんだ。キミの知っている彼女を全力で。」


「オレの知っている樹花・・・?!」


オレの知っている樹花といえば、天然、体が弱い、でも心は強い、優しい、ウソをつかない・・・・


「あれ?!」


オレは自分の心の中の言葉に違和感を感じた。


『優しい』と『ウソをつかない』は同居しない・・・ような。

『優しい』から『ウソをつく』もアリだ。


「ん?ん?ん?」


オレは自分でも何を考えているのか分からなくなった。



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