≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
半分かすれた声を搾り出した樹花の言葉を、オレは唇で遮った。

泣いてる樹花の唇は、かなり温かかった。


唇をそっと離すと、また樹花の唇が開いた。



「それと・・・・」



「ん?」



オレは樹花に顔を近づけたまま相槌を打った。




「ホント・・・わたし・・・バカだね・・・」




樹花は霊体での体験を覚えているのだろうか?



まぁ・・・


その話はまた後でするとして


『今』はこのかけがえのない時間に浸りたい。




「・・今気が付いた?」



樹花の耳元で囁くと、さきほどの霊体の時と違って、樹花の髪の匂いがした。


同時に、樹花のクスクス笑う声がオレの心を癒した。



「退院したらね、わたしお料理ガンバリたい!」


樹花の瞳がキラキラ輝く。


「がんばらなくても、十分上手じゃん!」


オレのバカップル的なベタなセリフもこんな時なら自然だ。


「わたしの夢なの。ピカちゃんのためだけに腕を磨くんじゃないの。」


樹花が目を逸らす。


「・・・?どういう意味?」


その言葉に樹花が、キュッと口を結ぶ。


「わたしたちの子どもとか・・・」


結んだ口の隙間から、樹花がボソッとつぶやいた。
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