≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
前回と同じ奥のリビングに通されると、絵里香は令子に背を向け、ピピッとエアコンの電源を入れた。そして、エアコンのリモコンをサイドボードにコトンと置いた。



「・・・そう・・・なんですけど・・・」



絵里香はリビングのソファーにそっと座った。


それを見て、令子も絵里香の向かい側のソファーに腰を下ろした。



「どうしたの?なにか引っ掛かる事でもある?」



令子の質問に、絵里香はうつむき加減だった顔を上げた。




「いいえ、引っ掛かるワケじゃないんですけど・・・・ただ・・・人間って愚かだなぁ・・・って、エンジェルくんに色々教わって・・・なんだか最近、人間の自分が空しくなってきて・・・」




令子の目が少し鋭くなった。




「エンジェルは・・・あなたに何を求めているの?」




「いえ!何も…何も求めていません!!ただ、こんな世の中だけど…いいえ、こんな世の中だから私の力が必要なんだ!!って、いつも言ってくれます。彼の言う通りにすると、心が落ち着くし、本当に良いことだから周りからも喜ばれるし…でも、どんなに良いことを私がやっても、周りの人にとっては、それは『何も起きなかった』事になるでしょう?だからね、いつも何も変わらなくて堂々巡りだって事に最近気が付いたの!その中で私の役目って・・・ただ、こういう事を繰り返して生きていくだけなのかなぁ・・・って、でも!それがイヤっていうワケじゃなくて、どうやったらみんなに、本当の事に気付いて貰えるんだろう・・・って・・・・」



絵里香はスカートの上に置いていた手で、キュッとスカートを握りしめた。




「そうね・・・とめどなく繰り返す事は…とても疲れるわね。私も、疲れる事あるのよ。空しくなる事だってあるしね。」



「そうなんですか?!先生も…?先生はどうして頑張れるんですか?霊やエンジェルの事なんか分からない人たちに、どう説明していますか?」



絵里香は真剣だった。今、絵里香の目にした事、耳にした事はすべて絵里香に吸収される。令子はそれをよく分かっていた。




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