≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
山田は満タンだったグラスのビールをグッと飲み干した。

と、同時に今度はビール瓶を自分でサッと取りトクトクとグラスに注いだ。



「そんな事ない。パパだって本当は分かってるでしょう?

森に住む動物たちはどうなるの?伐られた木はもう酸素をださなくなって、温暖化も進むよ!

目先の事ばかりじゃダメだ!ってパパも言ってるじゃない。

空港なんか出来たらもっと空気が汚れるよ。安らぎの無い所になっちゃうよ。

お願いパパ、考え直して!!」



山田はもう一度グラスのビールを一気に飲み干すと、ガンッとテーブルに置いた。



「絵里香、いい加減にしないか。

もう、その話しは終わりだ!分かったね。

パパは残った仕事を片付けるから夕飯は後にする。

そのままにしておいてくれ。」



そう言って、山田はダイニングを出ると、自分の部屋へと入って行った。



「はぁ~・・・・・」



絵里香も冷やし中華に差し込んでいた箸を抜き、テーブルに置いた。



部屋に入った山田は、自分のベッドに難しい顔をしながらゆっくりと座った。


実は、今夜山田が絵里香の話しに表情を曇らせたのにはもう一つ訳があった。


それは、2週間前に会社で起きた、いまいましい事件のせいであった。




















「ぶ・・・部長!たっ・・・大変ですっっ!!!」



山田が出勤して30分も経たない頃、営業部の社員の1人が血相を変えてオフィスに飛び込んできた。
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