≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「なんだ騒々しい!また、外注ミスしたんじゃないだろうな!」



山田は家の中とは違い、会社では鬼のように恐い上司で通っていた。


よって社員は極力山田を避けて、会社生活を営む事を平和としていた。


山田もそれを知っていた。


なので朝から山田に報告があるという事は、よほどの事だと予測がついた。




「いえっっ・・・ち・・ちがっ・・・と・・とにかくこれを!」



慌てふためき、言葉をカミながら話す若い営業マンから、レポート用紙を破ったような紙を手渡され、山田は渋々受け取り、目を通した。その時受け取った紙から何か鼻をつく臭いがしたが、山田はさほど気にはしなかった。



『空港建設反対意見書



空港建設反対!!



話し合いに応ぜぬそちらの対応に



死をもって抗議致す』






山田にとっては、今までの会社勤めの中で、よくある脅迫文のようにみえた。


大概は、このような文書や電話はハッタリが殆どだ。


山田は、紙切れをクシャッとまるめると、足下のゴミ箱に投げ捨てた。



「なんだ、こんなモノでビビりやがって。こんなものはなぁ・・・・」



と言い諭す山田に、営業マンは青い顔をして口をパクパクさせている。



「いえ・・・ですが・・・部長・・・・」



とやっと営業マンから声が聞こえたかと思うと、



キャーーーーーーーッッッッッ!!!!


ワーーーーーー!!!


誰か119番しろーーーーーーーーっっっ!!!


声の出所は、どうやら1Fの正面玄関からのようだ。

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