≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
アフロディーテ
日村先生は、山田さんの娘、絵里香ちゃんとの会話の後、名刺を置いて来た事をオレに告げた。
「山田さんは、恐らく私の名刺を見て連絡してきたのだと思うわ。」
山田さんが、オレでなく、直接日村先生に連絡してきた事で、なんとなく順番が付けられたようで、オレはあまりいい気はしなかったが、能力的には確かにそれでも仕方がないか…と、納得していた。
「そうなんですね…。わかりました。…じゃぁ、日曜日に。」
「えぇ。」
先生は、バックを肩にかけると、自分のトレーを片手でスッと持ち上げた。
「あっ、先生、オレが持って行きますよ!」
そう言ってオレは、日村先生のトレーを奪うと『返却口』へと、足早に置いてきた。
日村先生はにっこりと笑い
「ありがと。結構気が利くのね。」
なんて、褒めてるのかイヤミなのか、よく解らない言葉で返してきた。
カフェを出たところで、日村先生と別れた。
先生と別れると、オレは再び樹花の居る病院へと向かった。
チャリも置いたままだし、とにかく病院へは戻らなければならない。
それに、今ならまだ面会時間にも間に合う。
来た時と同じように電車に乗り、病院に到着したのは5時を少し過ぎていた。
やはり、オレは樹花に今日中に謝ろうと、病院の自動ドアをすり抜け外来患者のいる受付やらを通り過ぎ、エレベーターへと真っ直ぐに向かった。
エレベーターのボタンを押し、エレベーターが上から降りてくるのを待った。
チーン…
ようやく、エレベーターが1Fに到着し、中に乗っていた人が降りてきた。
オレは、中に居る人の顔はいちいち見ないが、その人が女性であることくらいはうっすらと分かっていた。
エレベーターから降りた女性は、一旦オレを通り過ぎようとしたが、通り過ぎる瞬間…オレの斜め後ろで立ち止まった。