≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
しかし、『分かった』というのは本当に意味があるのだろうかと・・・時々思う。


分かったとしても、結局・・・


『分かってないふり』をしなければならない時ほど、空しい事はない。


オレは日々、この『分かってないふり』をする演技が上手になっているだけの、つまらない大人になっているのだろうか。



「そぅなんだ・・・」



やはり、オレの口から出た言葉は、結局この程度のモノだった。



「あのー、すみません。エレベーターに乗りたいんですけど・・・」



エレベーターの押しボタンの前で立ち尽くしているオレたちに、他の面会者らしき人が後ろから声を掛けてきた。



「あっ、すみません!!」



オレは慌てて、エレベーターの上りボタンを押し、一旦閉じてしまっていた扉を、その面会者の為に開けた。


扉が開くと、その人は、オレに軽く会釈してエレベーターの中へ入った。



「・・・行かなくていいの?」



オレに話しかけたのはハルだ。


オレがエレベーターに乗りかけていたのを、気にしての一言だ。




「あ・・・うん。行くけど・・・・次のでいいし・・・」



「そう・・・」



・・・微妙な空気。



ハルと別れてから7年。



決して良い別れとは言えなかった。


なのに・・・・




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