≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
無情なまでに絵里香の前から、最愛の人を奪ってしまうのだろう。


絵里香もその事を悟ったのだった。




「ママっ!ママっ!まだダメだよ!絵里香・・・もっとママと一緒にいたいよ!話したいことだって、ママがよくなってから話そうって・・・ずっと溜めてたんだから!・・・聞いてよぉ・・・エッ・・エッ・・・ママぁ~ッッ・・・イヤだよぉーーーーっっっ!!」




由利絵には、すでにそのような娘の呼び掛けも、泣き声も届いていないのかもしれない。



「ハァ・・・な・・た・・・・ハァ・・・お・・ねがい・・ね・・・えりか・・を・・・」



妻の言葉に、山田は何度も大きく頷いた。




「あぁ!あぁ!大丈夫だ!!絵里香は俺がちゃんと見るから、おまえは自分の身体の事だけ専念したらいいんだ!今日を乗り越えれば、きっと良くなる!なっ!だから・・ガンバレ・・・・がんばってくれ・・・・」



山田は妻の手を両手でしっかりと握りしめながら、祈るようにその手を彼の額にあてた。


由利絵は、口をパクパク動かし何かを呟いている。




「ん?なんだ?何が言いたいんだ・・・」




「えぇ・・・もちろんよ・・・・えぇ・・・ハァ・・・とお・・ぜん・・・だわ・・・・」




由利絵はよく意味の解らない事を呟いていた。

それは、まるで意識が錯乱した人のようだった。

山田は限りなく不安になった。



「もういい。由利絵!もう喋るな!少し休め!」

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