≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
そんなハルとの辛い別れ。


でもこうして、ハルはオレの目の前で笑っている。


もしかして・・・


これも日々供養に携わってる・・・お・か・げ・・・?



いや、待て!


オレには樹花がいる。


何かんがえてるんだ・・・


オレは、何か脳の中が揺さぶられているような気がして頭をブンブンと振った。


オレのそんな、不可解な行動を見て笑うハル。



「アハハ、ヒカル何やってるの?頭振って!暑いのに寒気?」



「ちがうよ!蚊だよ蚊!」



「え~っ!ヤダ、かゆいのイヤ!近寄らないで~!!」



「コラッ!オレは蚊じゃねぇぞ。しかも移らないし!」


キャーーー・・・

ハルはまた小さく走った。

ファミレスまでのハルとの追いかけっこは、店正面の横断歩道で自動的に終わった。


信号が青になるまでの間、ハルはまた一番星を見つめていた。



「ヴィーナスって、キレイな響きだよねぇ。

さすが、情熱の愛と美の女神にふさわしい名前だと思う。

別名はアフロディーテって言うんだよ。

ヴィーナスも素敵な名前だけど、私はアフロディーテっていう呼び方の方がもっと好き。

ねぇ、知ってた?アフロディーテって名前は

『水または、泡から生まれた』

っていう意味があるんだよ。」



「へぇ~、さすがにソレは知らない。」



女ってこういう話し好きだもんなぁ。



「でしょう?!それはね、空の神ウラヌスと海の間に生まれた娘とされてるからなんだよ。」



「ふーん・・・」



多分、いつもなら真剣に聞かない話しだが、久々の再会した人との会話となるとそんなワケにはいかない。
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