≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
甘い罠
「はーい、皆さーん。それでは、各自仕事を中断して奥村君の歓迎会に向かう準備をして下さーい!」
立ち上がって、約10名ほどしかいない社員全員に向かって叫んでいるのは、さきほどのノゾミさんだった。
時計を見ると6時を過ぎていた。
皆それぞれ仕事の途中ではあったが、とりあえずイスから立ち上がり背伸びをしたり、机上の文具を引出に片付けたり、オフィスから離れる準備をし出した。
「場所は駅前の居酒屋『韋駄天』で~す。ちなみに社長はもう行ってるらしいでーす!」
オレたちは、ノゾミさんのその伝言を聞き、
ゆったりとしたペースから、少し早足に変えてオフィスを後にした。
「『韋駄天』行ったら、天むす絶対食べよ!」
居酒屋『韋駄天』贔屓の竹田さんは、すっかりはりきりモードだった。
「あそこの天むす、めっちゃ美味しいらしいですね。」
オレもいつも竹田さんや、他の社員からそう聞かされ、一度食べてみたいとは思っていた。