≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
「おぅっ、ほら、みんなも座れよ。」


うちの社長は社長と言っても、まだ若かった。

40前半だ。

しかし、経営能力は抜群でここ数年で会社を急成長させた。

そういう点では、尊敬出来る部分も多々持っている人なのだが・・・。


オレは早速社長にグラスを持たされ、瓶ビールをこぼれるほど注がれた。

とくに長ったらしい挨拶もなく、カンパイに至った。


「はい、みんなお疲れさん。奥村!飲むぞ!!カンパイ!!」


皆それぞれビールに口をつけて一旦グラスを置き、恐らくオレのために拍手をしてくれた。


そんなオレは照れながら、頭をみんなにペコペコ下げた。


しかし、オレは極力飲まされないように、社長側はほとんど見ていなかった。

話しが盛り上がると飲まされそうで、終始黙っていた。


「ん?奥村はあんまり飲まないのか?」


と言いつつ、社長はオレのグラスにすでにビールを注ぐ体勢に入っていた。

オレの今のグラスが空くまで、手に瓶ビールを持ち続ける様子だった。

オレは慌ててグラスのビールを飲みほした。



「おっっ!イケるじゃないか!飲め飲め!」



・・・きっと、皆この調子でグデングデンになるまで、

ノンストップで飲まされてきたのだろうな・・・と予想がついた。


ブルッ・・・


ほんの少しの恐怖に寒気がした。


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