≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
オレは飲ませられるスキを見せないように、
目の前の刺身やら、茶碗蒸しやら、天ぷらやらを、
間髪を入れずに口の中に放り込み、
常に口をモグモグと動かしていた。
しかし、オレのその様な作戦などあざ笑うかのように、
社長は未だ満タンのオレのグラスの横で、
既にビール瓶を掲げて待機している。
『ちょっと待ってください』
社長にそう言いたかったが、なにしろ口の中が食べ物でぎゅうぎゅう詰めになっているため、
そのセリフさえ言えず、オレは顔の前で、
社長に『タイム』のジェスチャーをする事で精一杯だった。
それでも社長はビール瓶をテーブルに置かなかった。
焦るオレ。
「グォフォッッ・・・」
咽せるオレ。
仕方なく流し込むビール。
「まだまだ、イケるだろ!」
ニコニコしている社長の罠に段々ハマッていく気分だった。
「どう?今度のうちの新人。」
社長がそう言葉をかけた相手は、社長の左に座っている女性だった。