≡イコール 〜守護する者『霊視2』より〜
オレは特に言葉を発することなく、ただ社長の言葉に相づちをちょこっと打った。
うちの社員とは違い、ハルは遠慮がちに静かにしていた。
食事もあまり口にしていなかった。
時折空いた、社長のグラスにビールをニコニコして注いでいた。
オレは、社長を挟んだこの微妙な空気に、とても居心地の悪さを感じていた。
ハルとはまだ話したい事が沢山ある。
しかし、目の前の女性はハルであってもハルと呼ばないで!とアピールしてきた。
今は、ルナだと。
となると、過去のオレとの接点は、今はナイショって事だ。
とにかくオレは黙っていた。
相変わらず、社長がどんどこ注いでくるビールにも、フルに対応して胃袋に流し込んだ。
今の、このオレの思考をフリーズさせるには、そうするしかなかった。
ただ、目の前にある何かをがむしゃらにやって、気を紛らすしかなかった。
食事とビールで胃袋がパンパンになっているのだけは分かった。
時々喋る言葉はろれつが回っていない事にも気付いていた。
いつの間にか、オレたちは居酒屋を既に出て、外を皆でフラフラと歩いていた。
社員の数人は、韋駄天を出た後、残りの仕事をしに会社に戻っていった。
オレと竹田さんと社長とあと2人の社員が、2次会についてきた。
その2次会とは勿論、ハルの勤めているお店らしい。
ハルは今日は同伴を社長にお願いしていたのだ。