初めての花火
「優衣達も来てたんだ」

「うん、2人が誘ってくれたから」


浴衣ではなく普段着姿の優衣が楽しそうに話す。

その隣ではサトルが優衣に妙に見惚れているように見える。気のせい?

倉山は何故か私の方をじっと見ている。何か付いているのかな……?


「やっぱり可愛いな」

「……えっ?」

「いや、何でもない」


倉山が何かを言ったように聞こえたけれど、優衣と話していた私にはうまく聞き取れなかった。

徐々に暗闇が広がっていく中で、倉山も少し赤くなっていくように見えた。


「紗千聞いてよ! 何かね、見掛けたなら本人に直接聞けば良いのにさ……
紗千と夜見君が手を繋いでいるのを見た子達が、私達を見付けたと思えば真っ先に
“あいつら付き合っているのか”とか、聞いてくるんだよ? どうかしているよね」
< 5 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop