初めての花火
まるで私に愚痴を言うかのように笑いながら話す優衣。

…………待って、私には笑い事には聞こえないんだけど。手を繋いでいる所、見られているの!?

“達”って事は複数いるんだろうなあ。月曜日、学校行きたくないんだけど。


「安心して。付き合っているなんて言っていないから。
転校した筈の夜見君がいる事も不思議がっていたけど、それも適当に言っておいた……
って紗千? 顔が凄い赤いよ? 熱でもあるの?」

「……な、ない」


私が1番見られたくない人達にまさか見られるなんて。恥ずかしいったらありゃしない。

……なんて優衣には言える訳がない。付き合っていると言ってはいない、そう優衣は言っていたけど。


「異性とこの年齢にもなって手を繋ぐなんて、付き合っている以外考えられないよね」


突然優衣と私の会話に入って来たのはサトル。

私が今思った事をストレートに口にしてくれちゃって。

ちょっと倉山何やっているの。あんたお兄さんでしょ。弟の暴走くらい止めて欲しい。
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