狂愛ゴング

ウワサの女で、なおかつ平々凡々な顔立ちの女だからって見世物じゃないっての! 気安く人の顔を見に来ないで欲しい。


……だから関わりたくなかったのに。

なんでこんなことに。なんでなんで。関わるだけならまだしも。なんで、付き合うとかなってるわけ?

まじで? なんて、私が言いたい! 信じたくない!


「高校入学するときあれほどもう同じ過ちはしないって意気込んでいたのにねえー。学習能力がないというか、バカっていうか」


楽しそうに声を上げて笑いながら話す泰子に、返す言葉はひとっつもなかった。
ええ、もう、泰子の言うとおりだよ。


「小学校の時は先生にブチギレして親呼び出して、親と学校で大げんかしたんだっけ? 校長まで出てきて大惨事になったって? たしか窓ガラス割ったんでしょ? あれ? ガラス割ったのはおばちゃんだっけ?」


確かにアレは最悪だった。

友達が授業中しゃべってたら怒り始めた先生。

理由は致し方ないことだけど、怒り方がねちねちとうっとうしくて泣き出したのにやめないんだもの。

ちょっと文句言えば次の標的が私になってネチネチネチネチ。

ブチギレるのだってしかたないじゃない。

くそじじい! はさすがに言い過ぎたかも知れないけど。

巻き舌を出来るようになったのはあの時からだったかな。あげくに親呼び出して、親まで先生に切れて、そんなお母さんに私が怒り始めて——……。

思い出したくもない。

あの時は卒業まで『手の付けられない生徒と親』というレッテルを貼られて、誰もが私に気を遣ってきたんだから。

上級生ですら私のことを避けて歩いてたっけ。
もちろん、問題はそれだけじゃないけど。上級生とも何度もケンカしたし、近所のうるさいおばさんともやりあったことがある。

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