狂愛ゴング
「ほんっとにひねくれてるんだね」
ひねくれもの、そんな言葉では可愛すぎるけど……それでもまだ奴にはしっくりくる感じ。
「人がいやがるのが大好きだからな。傷付いてもそれがかわいいんだから仕方ね—じゃん」
「あっそ……」
なんか本当にこいつ言葉通じないんじゃないかと思えてきた。
かわいいってなんだ。こいつのかわいいの基準ってなんだ。そのかわいいを自分で作り出すわけですか。
ほほう、かわいいは作れますもんね。
頭狂ってんなこいつ。
別世界の人間だからな。別の惑星から飛んで来たんだきっと。きっと鬼畜星とかで、その星がなくなってたどり着いたのが地球だったに違いない。
じゃなきゃおかしい、こんな生物が地球上に存在するはずない。
「あんたを好きになる人は大変でしょうね」
「だろうねーだけどみんな俺が好きだって。馬鹿じゃねえの?」
お前が言うな。
「俺の好きなように反応して、好きなように泣いて泣いてくれたらいいのに」
そんな物好きいるの?
でもまあいるのか……告白するくらいだし。え? そういうもんなの?
やばい、会話に理解が追いつかない。
「俺のことが大嫌いで、だけど俺のことが大好きで仕方がないそんな女の子落ちてないかな」
「……いねーよ」
いるわけないじゃん。
なんだそれ。矛盾しまくってるじゃん。
私の言葉に、新庄はにやっと笑ってパンと一緒に買ってあったジュースを飲み始める。