狂愛ゴング

どんなふうに彼女と付き合っていたのか。
どんなふうに女を振ったのか。
どれだけ女を泣かせ、どれだけの罵倒を口にしたのか。

始めは冗談だと笑う女の子も多かった。
そんなのただのウワサだと、一番最初に校内で告白したのは、確か1年先輩のそれはそれはかわいい人だった。らしい。

結果は言わずもがなだ。
次の日には新庄はマジでクソだという話が広まっていた。

だというのに。

高校入学して1年半。未だに彼に告白する女の子はいなくならない。稀に付き合うことがあるからっていうのも理由のひとつだろう。

ただし、どちらの場合も最終的にはあいつによってボロボロにされて捨てられる。

泣かされた女の子は数え切れない。
好きでもない女の子にはもうひどい扱いだ。そして好きな女の子にも。

優しい姿は全て傷つけて泣かせる為の前振りだと言われる。

……それを誰もが知っているはずなのになんで告白なんてするんだろう。なんで付き合いたいと思うのだろう。

顔がいいだけで、中身はゴミだっていうのに。



「今回なんて言ったと思う?」

「もう興味ないよそんなの」

「俺が他の女と付き合ってていいなら付き合うって言ったんだって。ほら、今1年の女の子と付き合ってるじゃん」


私の返事は耳に入っていないのか、泰子は答える。

ああ、ほらやっぱり聞かなきゃよかった。いつもと同じ、意味がわからない発言だ。


「それで、女の子がそれでも……って言ったら、ボロクソに言われたんだってさ。激怒したのかすっごい怖かったって。お前みたいな女はお断りだとかなんとか言って。しかも、廊下で。女の子号泣して帰ったからしいよ」


やっぱり廊下か。
っていうかマジで意味がわかんないんだけどどういうこと?
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