あたしの仮旦那は兄貴の親友
「そうだよ
僕の好きな人は果恋だよ」

「嘘だ」

そんなわけ…ない

だって好きなのは美雪さんだろ?

本気で結婚を考えたのは
美雪さんしかいないはず…

あたしなわけ…ない

「どうして信じてくれない?
どうすれば信じてくれる?
別れれば信じるの?
僕は果恋と一緒にいたい」

どうして…

じゃあ…美雪さんは?

パタンと静かに花音が
居間を出ていくのが見えた

「あ、あの…だって美雪さんのお腹の中に」

「父親は僕じゃないって言ったよね?」

「でも…身体の関係があったなら…」

「可能性はゼロ
父親は僕じゃない違う男だ
美雪は僕以外に男がいる
それは前々からそうだったから」

「え?」

「美雪と付き合う前から知ってたよ
僕以外に男がいた
だから付き合った」

「美雪さんが好きだったんじゃあ…」

「違うよ
好きじゃない
恋愛感情は美雪にはないよ」

「じゃあ、どうして…」

あたしの質問に
あいつは苦笑して肩を持ち上げた
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