あたしの仮旦那は兄貴の親友
「プ、プロポーズって言ったのか?
さっき、プロポーズするって言ったのか?」

何をそんなに驚いているの?
と言わんばかりの表情で
あいつがコクンと頷いた

「それがどうしたの?」

「『どうしたの?』じゃない!
何がどうなってプロポーズになるんだ
子は産まないと言った
だから結婚する意味はない
責任をとる必要はないんだ」

「とくに責任云々って気持ちはないけど
子供を産むなら
きちんと両親がそろってるほうがいいと思って」

「だから、産まないと言っているだろ」

「僕は産んで欲しいって言ってる」

「どうしてあたしの話しに耳に傾けない」

「それを言うなら
どうして僕の意見を聞こうとしないの?」

あたしたちは見つめ合った

いや
あたしが睨んで
その視線をあいつが受け止めてると言うべきか

駄目だ
このままではずっと平行線のまま

あいつの迷惑になるだけだ

生真面目すぎるあいつだから
無意識のうちに責任感が湧いてくるのだろう
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