あたしの仮旦那は兄貴の親友
「もう、いい」

あたしはあいつの腕から手を離す

あいつに背を向けて
すたすたと離れて行った

「果恋ちゃん?」

「ここにまだ赤ちゃんがいるから
こんなことになるんだ

さっさと病院に行って手術を受けてくる
腹の中が空っぽになれば
あんたの考えもかわるだろ」

「ちょ…果恋ちゃん!」

フライ返しを流しに投げこんだあいつが
自室に戻ろうとするあたしを追いかけてきた

部屋のドアノブに手をかけるあたしの手首を掴むと
ぎゅうっと後ろから抱きついてきた

「どうしてそんなことを言うんだ」

首筋にあいつの息がかかる

くすぐったくて
すごく嫌だ

「あんたがまだ何もわかってないからだ」

「わかってないのは果恋ちゃんのほうだと思うよ」

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