あたしの仮旦那は兄貴の親友
気持ち悪い…

あまりの気持ち悪さに
あたしは瞼を持ちあげる

気づけば
ドアに寄りかかって
少しの時間、眠っていたようだ

わかってる

あんなふうにあいつのことを
怒鳴っているあたしが一番最低だって

ちゃんと、わかってる

あいつは男として
犯してしまった過ちに真摯に向かい合って

男としてきちんと
その過ちを正そうとしているんだって

わかってるけど

嫌なんだ

どうしても嫌なんだよ

あいつに過ちの責任を押し付けるのが
嫌なんだ

あいつの子を妊娠しているのは嬉しい

あいつがプロポーズをしてくれるのは嬉しい

だけど、違う

すべてはあの夜のせい

だからあいつの本心じゃないってわかってしまう

そんな自分が悲しくて辛いんだ
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