あたしの仮旦那は兄貴の親友
「両親の結婚記念日が近いので
そのプレゼント候補ですよ」

甘い笑顔で女教師の目から
通販カタログを外させた

やんわりとこれ以上の突っ込みは禁止

と、言わんばかりのオーラを放つ

そういうのがうまいヤツなんだ
あいつは…

だから女が騙される

本人は騙した感は全くないんだろうけど

見ているこっちは
ハートマークの目をしている女を見ながら
ああ、またやってるよって冷たい感情が
顔を出す

「久我先生、日誌です」

「ああ、ありがとう」

久我先生があたしの手から日誌を受け取る

「海堂さん、今日は顔色がいいね」

「は? そうですか?」

「ん。最近、ずっと青白かったから」

そういえば…今日はまだ一度も吐いてないかも

とういうか
産むって決めてからのつわりは
ひどく軽いものになった気がする


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