あたしの仮旦那は兄貴の親友
一時間目の休み時間になるなり
あたしの携帯が鳴った

まだ学校までには距離がある

あたしは液晶にうつるあいつの名前を見てから
電話の通話ボタンを押した

『果恋ちゃんっ、どこにいるの?
大丈夫?
つわりがひどいの?
事故にでも巻き込まれたの?
具合が悪いなら
僕、早退するから病院に行く?』

いっきに言いたいことを
口にするあいつにあたしは苦笑した

心配性だ

こんなふうに付き合っていたの女性にも
言うのだろうか?

教師のくせに
早退なんかするんじゃないよ

自習になったクラスの女子が
久我先生の早退理由を聞いたら
激怒するよ?

みんな
久我先生の授業を楽しみにしてるのに

「ちょっと吐き気が…
だけど平気だから
もう学校に到着するから」

あたしは電話を切ると
すぐに鞄に携帯を仕舞った

今夜…あいつはあの女性とどんな話をするのだろう

あたしにも
会ったことを話してくれるのかな?

きちんと報告してくれるのかな?
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