Air ~君と一緒に~
3時頃。
僕は職場を出て駅に向かった。
新宿までは電車で30分程。
すこし早めに行って、駅前でコーヒーを飲んで時間を調整した。
頼まれた書類を渡すだけなので何て事はないだろう。
コーヒーを飲み終えると時計は3時50分をさしていた。
「そろそろ行くか・・・。」
頼まれた書類を確認し、僕は店を出た。


取引先をでると5時30分になっていた。
相手の顔を見て思い出したが、ものすごく話が好きな人だった。
前回課長と一緒に来た時もそうだったが、今回も大半は関係のない話だった。
若いころの話や趣味の話、特に登山の話がとまらなかった。
北アルプスだかどこがで見た日の出が忘れられないとか、
来週は何処だかに行くとかそんな話を延々聞かされた。
最後は相手方に同席していた女性に時間のことを聞かれて、なんとか出てくることができた。
女性の対応から察すると、きっと社内ではなかなか聞いてもらえないのだろう。
そんなことを考えるとまた苦笑いをし、取引先を出てきた。

彼女との約束にはまだ少し早い。
たまたま紀伊国屋の前を通りかかったので、
ここで立ち読みでもして時間をつぶすことにした。

そこで15分くらいした頃。
音楽雑誌を読んでいるときに携帯が鳴った。
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