パステルクレヨン
「一回、諦めたじゃん。そいで彼氏、つくったじゃん。でも、ダメだったんだよ」
そう。
あたしは3年前に玉置が鳴海さんと付き合ったとき、ヤケになって告白してきた先輩と付き合った。
ホントは断ろうと思ってた。
だけど…
『杏樹ちゃん、玉置を好きなの、知ってるから。それでもいいから。少しずつ…一緒に過ごしながら考えてみてよ』
…ダメじゃなかった。
あたしの気持ち以外は。
先輩は優しくて、無理やり何かをすることはなかったし、『好き』という気持ちに対して答えも求めてこなかった。
「今だかつて、10ヶ月付き合ってキスもしない、手も繋がないカップルなんて…アレは先輩かわいそうだったよ」
「まぁね……」