パステルクレヨン


『まもなく、閉館いたします……本日のご利用、誠にありがとうございました…』


…疲れた。


脳が溶けそうだ。


荷物をまとめてフラフラと歩き出すと、後ろからヒカルくんの声が聞こえた。



「早瀬ーーーっ」


振り返ると、ヒカルくんがタオルを振り回している。


って……わわわ


あたしのだ!



「早瀬、忘れてる。机の上に堂々と置いてあったよ。大丈夫?疲れてる?」


ヒカルくんはあたしの前まで走ってくると、手を膝について息を整えた。


「大丈夫、ごめんね。わざわざありがとう」


ヒカルくんからタオルを受け取ってにっこり笑うと、ヒカルくんはあたしの顔をじっと見た。



「ん……?どした?」





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