パステルクレヨン


「早瀬、まだ玉置のこと好きなのか…?」


『まだ』


まだ、好きなの?


『早瀬さん、まだ好きなの?玉置のこと』



頭にフラッシュバックする。


忘れない、鳴海さんの言葉。


「玉置は、友達だから」


頭が痛い。


あの時の冷たい目。


愛らしさのかけらも残っていなかった低い声。



『それってさ……ストーカーじゃん』


痛い。


頭が痛い。


違う。


痛いのは耳だ。


耳鳴りがする。


それが、頭まで響いてくる。




「じゃあさ、俺と付き合っちゃおうよ」




―――『俺たち、付き合っちゃう?』




…………嫌だ。





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