パステルクレヨン


あたしは泣きそうな顔で必死に首を横に振った。


さっき、玉置の声とヒカルくんが重なった。


―――怖かった。


…なんでみんなそんなこと言うの?



「分かってる。ごめん、嘘だよ。早瀬、好きなんだろ?玉置のこと。なんで無理やり『友達』になろうとすんの」



「ち…がうよ。玉置は、友達。友達がいいよ。彼氏じゃ、嫌だ」


取り乱すあたしに、ヒカルくんは小さなため息をつきながら頭を撫でてくれた。



「早瀬は、男女の友情はあると思ってるんだな」


あたしはバッと顔を上げる。


…どういうこと?



「俺はムリだよ、早瀬。友達だと思ってても、女は、ある瞬間に、女になるんだよ」






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