パステルクレヨン
「まー、良かったよ」
「………?何が?」
「早瀬、自分の気持ちに気づいてないのかと思ってたからさ。まぁ、俺はあの告白、本気でお付き合いできるつもりでもいたけど」
「…ばっかじゃないの」
ヒカルくんはあはは、と笑って、さっき届けてくれたタオルであたしの涙を拭った。
…『自分の気持ち』かぁ…
玉置がどう、とかじゃなくて。
鳴海さんがどうだった、とかじゃなくて。
あたしは、どうなのかってことが大事なんだ。
恋愛するのなんて、自分の気持ちだけあれば、十分なんだ。
「アリガト、ヒカルくん。ちょっと、元気出た気がしたよ」
「なんかあったら言えよー」
ガッツポーズしてくれたヒカルくんは力強くて、なんだか今までのあたしが弱かった気がした。