パステルクレヨン


「まー、良かったよ」


「………?何が?」


「早瀬、自分の気持ちに気づいてないのかと思ってたからさ。まぁ、俺はあの告白、本気でお付き合いできるつもりでもいたけど」



「…ばっかじゃないの」


ヒカルくんはあはは、と笑って、さっき届けてくれたタオルであたしの涙を拭った。



…『自分の気持ち』かぁ…


玉置がどう、とかじゃなくて。


鳴海さんがどうだった、とかじゃなくて。


あたしは、どうなのかってことが大事なんだ。


恋愛するのなんて、自分の気持ちだけあれば、十分なんだ。




「アリガト、ヒカルくん。ちょっと、元気出た気がしたよ」


「なんかあったら言えよー」


ガッツポーズしてくれたヒカルくんは力強くて、なんだか今までのあたしが弱かった気がした。




< 30 / 68 >

この作品をシェア

pagetop