パステルクレヨン


「だから、もう恋愛なんていうのはだね、杏樹。そろそろ未来の旦那を決めるためのものであって――」


……今日も始まってる…。


半年ほど前から、年上会社員(推定29)と付き合い始めたヒロコは、本気で結婚のことまでも考えているらしい。



「いいねぇーラブラブはさ」


化学の準備をしながら、のんびりと答える。


「でも、嫌なことだってあんのよ、久しぶりに向こうからデートしよって言われて喜んで行ったらご飯食べて速攻ホテルだし」


「ほてるぅーーーーー!?」


あたしの大きすぎる声に、みんなが振り向く。



ほ…ほて…ほてるって…


もちろん、ビジネスホテルじゃあ、ないよね…


ってことは…



「ら……らぶ…らぶほてる?」


「エっ?そうだけど」





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