パステルクレヨン
あぁ、もういいや。
勉強しよう。
あたしが集中すれば、こんな恋愛なんて、すぐ忘れられちゃうんだからっ。
ピルルルルっ――
「ぎゃっ」
もー、なんなのよ。
最近あたしの携帯、タイミング悪い。
人が落ち込んでるっていうのに…
ディスプレイを覗いたあたしは、数分前にタイムスリップしたのかと思った。
着信:西宮玉置
ピ
「…もしもし」
気付くとあたしは、迷わず電話に出ていた。
あぁ、ホラ。
また後ろで車の走ってる音。
「あのさ早瀬っ…勘違いしないでほしいんだけどさ」
「…なによ」
「俺、鳴海のこととか色々あって。 また同じ失敗は、繰り返しちゃダメだと思ってるけど…」
「うん?」
「実際、よく分かんねェんだ。 …というか、分かんなくなった。 教えてくれよ、早瀬」
「…どうしたら『恋愛』できんだ?」