パステルクレヨン



え………



「俺、鳴海のことは確かに好きだけど、騙されたって、分かってる。 それが今でも、まだショックなんだ」



「うん、」



「別に世の中、そんな女ばっかだとは思っちゃいねェけど。 俺としては、今は執行猶予みたいなモンでさ、もう同じことは繰り返せない。


すぐ別れるための付き合いなら、ただの傷の付け合いだと思うから。 そのたびに人間の価値が下がっていくだけなんだと思う」



あぁ、そっか。


玉置も、同じなんだ。



神様でもなんでもない。


あたしも玉置も、同じ人間なんだから。



「うん…」


あたしはゆっくりと相槌を打った。



玉置が、分かって欲しがってるのが、よく分かる。



手にとるように、よく分かる。






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