パステルクレヨン
Ⅲ
あたしは、いつも思ってる。
彼氏ができたら、あたしを大切にしてくれる人がいい、って。
自分から好きになった人とは付き合ったことのないあたしの一番最初の彼は年下で
いかにもオレ様で顔もカッコよくて、みんなに羨ましがられた。
今思えば楽しんでたのは彼だけで、あたしの意見なんて聞いてもらえなかったし
別れたいって言っても嫌だと言われて、やっと別れられたと思ったら
2週間後には新しい彼女を腕に絡ませて楽しそうに歩いてる彼を見た。
あぁ、彼は、『自分の女』がいないと、不安なんだ…
誰でも良かったんだなって。
あたしじゃなくても、誰でも一緒なんだなって。
そう思ったら泣けてきて、裏庭の角で小さくなってるあたしを見つけて
慰めてくれたのが、玉置だった。
バカみたいだけど、王子さまに見えたんだよ。