ただ、大好きでした。
アイツ、蒼井 奏(アオイ ソウ)と出会ったのは、中学校の入学式だった。
地元の中学だけあって、小学校が同じだった友達の多くが、エスカレーター式のように進級してきた。
なのにクラスには、
知らない人ばっかり。
はじめて見る顔ばっかりが並んでいた。
安心しきって、“心の準備”とやらを完全に放棄していたあたしは、
溢れるほどの不安を抱え、
ポツンと1人、座席についた。
しばらくして
ガラッ
と、前の扉が開いて何気なく目を向けると
そこに、蒼井がいた。