いつもここにいて。
「ごめんなさいっ!私何言って…」

「どこ行く?」

「へ!?」

「この前できた水族館は?俺まだ行ったことないんだ」

「…うん!私も行ったことない!」

「じゃ明日9時頃バイクで迎えに行くよ」


うそ…

これって本当にデートのお約束…!?

信太郎くんと…!?

信じられずに、私は呆然と立ち尽くしていた。


「よかったね」

「あ…、そうか、マコトが何か魔法を使ったのね?」

「僕は魔法使いじゃないよ。君の中に眠っている力を引き出しただけ」

「よくわかんないけど…、ありがとう!今日は本当に私じゃないみたいだった。ヘンな事言う人もいたけど、楽しかった!信太郎くんとデートの約束もしちゃったし…うふふふふ」

いつまでも余韻に浸っていると、もう陽はすっかり沈んでいた。

「帰らなきゃ!じゃあね、本当にありがとう!」


もう真っ暗で、田舎道だから怖いくらいだ。

「………」

何か、背後に人の気配を感じた。

…こわい!

私は急ぎ足で歩いた。
それでも不安で、走り出した。

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