LIVE −自分らしく−
結局彼女に

肝心な事は聞けぬまま…


時だけは止まることなく

過ぎていった…



とても穏やかで暖かな時間

どんな関係であれ

彼女と過ごす時間は

僕にとって至福の時…



そして…

それはきっと彼女も…




彼女が路上に出だしてから

1ヶ月が過ぎ

彼女は相変わらず

バイトと路上での活動の

日々を送り


僕も相変わらずの

日々を過ごしていた…



今日は彼女が

以前夜景を見に行った場所へ

行こうと言ってきた



その理由は…



今日12月5日は

僕の誕生日だからだ



僕は期待に胸が膨らみ

夜になるのが

待ち遠しくて仕方なかった…



仕事が終わり

足早に家に帰り

車で彼女を迎えに行った…




彼女を乗せ目的地に向かう



前と同じように

コンビニに寄り

飲み物を買い山頂を目指す…



前と違うことと言えば

飲み物が温かい事と

風が冷たい事…


それ以外は変化のない

闇の中を走る…



きっと昼間に来ると

季節の違いを風景が

教えてくれるに違いない…

次は昼間に来てみよう



そう思っていると彼女が…



「ねぇ?今度は明るい時に
こようよ!
この道も山頂からの景色も
違うだろうし…」


っと言ってニコッと笑った



嬉しさが込み上げる…

同じ事を同じ時に考えてる

そんなちょっとした事すら

嬉しく感じる…



「そうだね…
桜の季節とかいいかもね?」



僕はそう言い彼女に

微笑み返した…



この暗闇も彼女となら

心地良く感じる…

きっと彼女と一緒でなければ

こんな気持ちにはならない


大切な存在…

辛い時も悲しい時も

彼女が居てくれるだけで

乗り越えられる…


そして…


僕も彼女にとって

そんな存在でありたい…


そう強く心に思う一時…


気付くと車は山頂に

着いていた
< 29 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop