美しい名前
「俺はまだ助手だから、適当に坂井とか呼んでよ。キミは空海ちゃんだったよね??珍しい漢字を書くんだね。」


ーまた、だ。
やっぱり名前が気になるみたい。あたしは、その話はしたくなかったから、

「そうですね…じゃあ、坂井さんで。よろしくお願いします。」

もうこれで、坂井さんは出ていくと思った。けど、

「空海って、すごく良い名前だと思うよ、俺。お互いに遠い所にあるのに、混じり合ってしまいそうなほど同じくらい青くて澄みきってて。」

俺は好きだな。そうつぶやいてまたあたしをその瞳で見つめる。

名前を好きだと言われたのに、まるであたしのこと好きって言われてるみたいな錯覚になって、途端に顔が熱くなるのが分かった。
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