空模様
放課後、あたし達は初めての部活に向かった。

あたしと蕾と加奈はソフト部、奈津はバレー部、憂海はテニス部に入部した。



「さあ来ーい!!」

野球部やソフト部、サッカー部の声が響く放課後のグラウンド。

入部したばかりの1年生はどこの部も挨拶をしてボール拾いか声だしをしていた。

あたしはさっきの出来事が忘れられなくて、先輩のカバーをしてるときも、隣り合わせのグラウンドの後ろでボール拾いしてる翔ちゃんが気になってしょうがなかった。

なんか不思議な感じ。侑也くんのことがあんなに好きで、あんなに泣いたのに。翔ちゃんがかけてくれた優しい言葉だけであたしはもう違う自分になったみたいだった。

でも、なんで翔ちゃんはあたしのこと、追いかけて来てくれたのかな??
小さい頃は遊んでけんかして、ただそれだけの幼馴染みだった。中学校に入ってからだって、話したことなんかほとんどないのに。

だから、翔ちゃんがあたしを追いかけて来てくれて、翔ちゃんから話しかけてくれて、今日はすごい嬉しかったんだよ。

久しぶりに見た翔ちゃんの笑顔に、あたしは少し安心したんだ。



--…翔ちゃん、ありがとう。

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