空模様
「ねえ。」
会議が終わって裕二に話しかけられた。

あたしが振り向くと
「話があるんだけど。」そう真剣な顔で言われた。

「なっ、何??」

「ちょっとこっち来て。」

裕二はそう言うと、あたしの手をつかんで、階段の下まで連れて行った。
「裕二ー??どうしたの??」

「あのさ…俺っ、7月から他の学校に通うことになったんだ。」

えっ…??

びっくりして、声にならなかった。あたしは息を吸って、ゆっくり裕二に聞いた。

「それは、転校するってゆーこと…??」

「うん。親の転勤でさ…。」

「そ、そっか。」

「俺、お前のこと、ずっと大好きだったんだぜ??」

えっ…??

何回びっくりさせんの??また冗談とか言って笑うんでしょ??

そう思って見上げた裕二の顔はすごく真剣で、夕陽に照らされたのもあって、ほんのり赤かった。
「本気だよ。でも、心衣は翔人が好きなんだろ??」

ズキっ

あたし翔ちゃんのこと、‘好き’なのかな??

「頑張れよっ!!じゃあ転校するまでよろしくな!!あっ、まだ誰にも言うなよ??」
裕二は笑ってどこかに行ってしまった。

「ちょっ…ちょっと待っ…。」

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