空模様
「ねえ翔ちゃん、もう大丈夫なの??」

「ん??あっ、そーか、もう大丈夫みてー。」

「そっか、よかった…。」

「…りがとな…。」

「えっ??」

今の、聞き間違いかな??

「だから…、あれ、隣で…あ゛ーもうっやっぱなんでもねー。」

やばいね。そんなかわいい顔で言わないでよ。あたしだって女の子だけど、翔ちゃんに負けちゃうよ。もう大好きになっちゃったよ。


あたし達は黙って歩き続けた。あたしは先を歩いていく翔ちゃんの背中を追って早足で歩く。翔ちゃんの背中を見つめる。先を行く翔ちゃんが遠くなると翔ちゃんは立ち止まって後ろを振り向く。あたしは黙ったまま小走りで翔ちゃんの元にかけていく。そしてまた、歩き出す―



「市原ー!!杉浦ー!!」



沈黙をやぶったのは先生の声だった。

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