銭コ乗せ

指輪を手に入れた俺は、少々浮かれていた。光輝くこの指輪は、もう間違なく貴金属。換金すりゃ一万なんて楽勝だろう。

「わらしべ長者がこうも上手くいくとはなぁ。」

ありがとう、友よ。俺はどうやら生きていけそうだ。

スキップスキップ、鼻歌るんるんで歌いながら、俺は貴金属屋までやってきた。






やってない。

貴金属屋が、

やってない。


おいおいマジかよ。しゃあねぇ、近くの質屋にでも入れるか。
俺は余裕の小走りで質屋を目指した。






潰れてる。


建物もろとも、


潰れてる。


ちっ…こうなったら骨董屋だ。怪しいが鑑定くらい出来るだろ。
俺は足早に骨董品屋に向かった。


前に行った骨董品屋は、さすがに営業していた。

ふぅ…あぶねぇあぶねぇ。まあ、これでどうにかなるだろ。
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